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猪熊夜離 from fanbox
猪熊夜離

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『シン・エヴァンゲリオン劇場版』観ました

テレビ版から足かけ25年、旧劇場版で(゜д゜)ポカーンとしてから24年、前作『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』からでも8年以上かかりましたが、やっと! ついに! エヴァが完結しました。


正直そこまで激しく熱中してこなかったと言いますか、熱心に考察やらカプ談義やらしてきたファンに比べれば冷めた客ではあるんですが、それでも四半世紀を共に過ごしてきた作品が公式に「完結」と銘打たれるのは感慨深いですね。


以下、ネタバレ


『シン・エヴァンゲリオン劇場版』はエンドロール抜きにしても2時間30分ほどあります。かなり長いです。なので思いつく限り書いてたらキリがないので、各ヒロインとシンジくんの話に絞っていきます。

アヤナミレイと野良猫

かつての綾波とは別個体のアヤナミレイとして本作にも登場しました。移り住んだ第三村では綾波レイに似てるけど綾波レイではない「そっくりさん」と呼ばれ、村人に混ざって田植えをしたり、村の仕事を手伝ったり、子守りをしたりと交流を深めていきます。


アヤナミの目を通して繰り返し描かれるのが野良猫です。村に住み着いて暮らしているが誰にも所有されず、名前のない猫たち。それはアヤナミレイ(綾波レイ)自身のことでもあります。


一緒に田植えをしているお姉様方から「そっくりさん」じゃなく、そろそろ名前をつけたらいい、自分でつけられないなら誰かに考えてもらったらと言われ、アヤナミは碇くんに名前を考えて欲しいと頼みます。


村人はアヤナミに名前をつけようとはしませんでした。名付けとは存在の固定化です。「そっくりさん」などと呼ばれる名無しの存在を受け入れ、野良猫に首輪をはめて飼おうとするようなことはせず、あるがままを受け入れて共に過ごします。


しかし村での生活が続くうち、そこでの生活が心地よく感じられるようになるにつれて、野良猫だったアヤナミレイは「ここでずっと暮らしたい」と心境の変化を起こします。


そのために誰かに名前をつけてもらう必要がある。誰を飼い主とするか、誰に所有されるか。やはり碇くんがいいと頼みます。


アヤナミは自分の意思で綾波になり、綾波として残された生を全うしたのです。そこには、ある目的のために作られた人形でしかなかった彼女が、自らの意思で生きた瞬間が確かにありました。

乳の大きいいい女こと真希波・マリ・イラストリアス

新劇場版:破から登場した新ヒロインです。シンジくんと衝撃的な出会いを果たした、おさげで眼鏡の乳が大きい謎の女と認識していたところ、『シンエヴァ』本編で自ら「乳の大きいいい女」を自称してて笑っちゃいました。


前作『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』にて登場した新設定、「エヴァのパイロットは肉体が10代で止まる」を、いつまでもエヴァ、エヴァ言って大人になれないオタクへの批判と受け止める風潮も一部にはありましたが、あれがあったがためにマリのバックグラウンドは厚くなったし物語的にも大団円に落ち着きました。


エヴァファンには周知のことと思いますが真希波・マリと名乗るキャラクターは、貞本版エヴァ完結巻のオマケ短編に登場しています。


新世紀エヴァンゲリオン(14) (角川コミックス・エース)


この短編は碇ユイとゲンドウが冬月コウゾウの下で学んでいた学生時代の話です。そこに飛び級で入ってきた最年少メンバー、真希波・マリが登場します。マリが掛けている眼鏡はユイから贈られたものです。


言動の端々に10代の少女らしからぬものを感じていましたが、エヴァのパイロットだから若く見えるけど実年齢はシンジよりゲンドウに近いのだとしたら納得。


そして彼女には旧作の人間関係だけでは膠着してしまう物語を壊し、シンジくんを外の世界に連れ出す役割がありました。


長い、長い、長すぎる10代を生き延びたマリが新世界で成長し大人シンジと一緒に生きる姿は、その裏にあった語られることのない物語に決着がついた瞬間でもあったのでしょう。

シンジのことが好き「だった」式波・アスカ・ラングレー

カプ厨の皆さん、戦争の時間です。


エヴァを代表するヒロインは誰か。おそらく懐かしのアニメトップテン的な番組にもよく名場面が取り上げられ、その後に多大なフォロワーを生み出したことから、一般層の知名度は圧倒的に綾波が高いでしょう。


だがしかし!


過去のスピンオフ作品や版権イラストでは、アスカとシンジのカップリング率が高いのです。もちろん全ての企画に目を通して集計したわけではありませんが。

綾波は作品を象徴するヒロインだけど、シンジと手を取り合うヒロインはアスカ。そう思っていました。


だが『シンエヴァ』で予想外のカップリングが誕生したのです。


アスカとケンスケ??????


ケンスケですよ、ケンスケ。シンジとトウジのクラスメートでオタクっぽい眼鏡いたでしょ。あいつです! あいつとアスカが『シンエヴァ』では公式カップルになってるのです。

嘘でしょと思いつつも、雄叫びをあげながら木を揺すって威嚇するオランウータンにならなかったのは、変化することを肯定的に描く『シンエヴァ』にあっては自然な成り行きだったからです。


考えてみれば、中学時代に好きだった異性のタイプとアラサーで好きになる異性のタイプが一致しないなんて普通ですし、子供のころ好きだった相手を大人になっても好きで居続けなきゃならない決まりはないです。


シンジは14年間眠ってたので精神年齢14歳のままですが、アスカは14年間あの世界で生き抜いた28歳の女性ですからね。それにしてはシンジ相手の言動が幼くて「先に大人になっちゃった」と言われても「そうかぁ?」な部分ありますが。


物語的な意味で言えば、アスカはアヤナミに「綾波シリーズは第3の少年(碇シンジ)に好意を持つよう調整されている。今の感情は、最初からネルフに仕組まれたものよ」と言います。アヤナミがシンジに抱く好きは『本物』じゃないと言っているのです。それでもアヤナミは動じることなく、自分の感じる好きに殉じます。


そうすると綾波シリーズと同じクローン体であることが判明した敷波シリーズのアスカには、アヤナミと同じ「たとえデザインされた気持ちでも、この胸に宿る恋心に従う」といったルートは歩ませにくくなります。Wヒロインで同じことやっても仕方ないですからね。


アスカが「エヴァの呪縛」から解放されるにはネルフの思惑から外れ、自分の意思で選んだ人間との関係を必要としたのでしょう。


最終決戦前にシンジを訪ねて「あのころはシンジのこと好きだったんだと思う。でも、私が先に大人になっちゃった」と伝えるアスカ。


それにシンジは物語の終盤、赤い海で応えます。そうです。我々を(゜д゜)ポカーンとさせた旧劇場版ラストシーン、あの続きかのような場面に再びシンジとアスカは立つのです。


「これだけは伝えておきたかったんだ。ありがとう。僕を好きだと言ってくれて。僕も、アスカが好きだったよ」


このシーンはアスカの作画が気合い入りまくってて、作ってる人たちの「これで新劇だけではなく全ての『エヴァンゲリオン』にけりを付けるんだ!!」という意気込みが感じられました。

twitter post: 1426009154955595777

ふたりのやり取りで重要なのは、好き『だった』を否定しなかったことでしょう。


『シンエヴァ』公開当時のレビューに、また庵野がオタクに大人になれと説教してる、というものがありました。ラストシーンなんてスーツ姿の大人シンジがマリと新しい世界に飛び出していく姿ですからね。


ここで考えたいのは、なぜ大人になれと言われた気がして反感を覚えたのかです。大人になるとは好きだったものを否定すること――過去の自分を捨てて新しい価値観に染まることと感じたのではないでしょうか。子供とは別の大人と呼ばれる存在に自分を造り変えることだと。


そうした大人観を持っているなら、シンジくんがシンジさんになってしまうのは、シンジくんの物語が好きだった自分たちへの否定(いつまでもそんな物にうつつを抜かしてないで大人になれよ)と感じてしまうのも無理からぬことです。


ですが、シンジとアスカがお互いを好き『だった』14歳の自分を否定せず大人になったように、私たちは過去を壊さずとも好き『だった』ものの上に新しい好きを積み上げていけます


新しい何かを好きになること、それまでと違う価値観を受け入れることは、そこまでの自分を否定すること、間違った存在だったと断じることではないです。


14歳の時に好きだったものを大人になっても好きで居続ける必要はないですし、もう好きでなくなったのに義務感だけで好きな振りをし続けるほうがつらくないですか?


だからアスカとの初恋の思い出を胸にしまいながら、マリとグッチョグチョに大人の恋愛(意味深)をしてもいいんです!!

(Twitter)


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